Dance in the rain
◇◇◇◇
ガチャン!


ランチタイムも終盤にさしかかって、空席が目立つようになった店内。
和やかだった空気は、鋭い音に破られた。

「す、すみませんっ!」
割れたコーヒーカップの破片を、オタオタしながらかき集めた。

「っつ……っ」
ポト……ポト……ッ
ざっくり切れた指から、血がしたたり落ちる。

ほんっと、なんてバカっ!
あたしは自分のトロさを呪った。

「これで押さえて」
声のした方を見上げると、純さんがタオルを差し出していた。

「あ、ありがとうございます……」
「ここは片づけておくから、傷の手当、しておいで」

「だ、大丈夫ですっ大したことないですから」
再び破片に伸ばしたあたしの手を。
純さんがつかんだ。

「花梨ちゃん」
ゆったりと。でも、有無を言わせない強さで。
その目が、あたしを見つめてた。

「す、すみません……」

あたしは純さんからタオルを受け取って、切れた指に押し当てると。
ぺこっと頭をさげて、フロアから出た。
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