Dance in the rain

「あ、それはたまたま……。なんでもするつもりなんですけど、あたし高校中退してるし、どうしようかなって」

「ふぅん」
しばらく考え込んでいたイケメンは、唐突に、「接客業は?」ってあたしを見た。

接客業? それなら……
「あ……前、スタバでバイトしてました」

「そうなんだ、じゃ、問題ないね。だったらさ……」
一瞬言葉を切ってから、キラキラって修飾がぴったりの笑顔で続けた。
「うちで働かない?」


「……は、い?」

ウチデ働カナイ?

「いいよねーマスター? バイトの子欲しいって言ってたもんね?」
カウンターの中に向かって声をかけると、
「お、働いてくれるの? 助かるよー」って声がして、
マスターって呼ばれたお髭のシェフが、タオルで手を拭き拭き出てきた。

「最近ランチタイムのお客さんが増えてきたから、もうこいつ一人じゃフロアがまわんなくて。手伝ってくれるとすごく助かるよ」
ゆるっと目尻を下げながら言う。
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