Dance in the rain
そんな2人と一緒に、突然あたしが働き始めたものだから、
彼女たちの動揺はすさまじかったらしい。
最初の数日間は、帰り道で刺されたらどうしようって、本気で心配した。
あからさまに足ひっかけられた時は、どこのマンガの世界ですか? ってビビったし。
でも、どんな時もマスターや純さんの態度は変わらなくて。丁寧にいつも通りお客さんに接していて。
そのせいか、最近は随分、店内の空気も和らいできたような気がする。
まぁ、存在を無視されてる、って方が正しいのかもしれないけど。
でも、2人の人気、わかるなぁ。
イケメン、っていうだけじゃなくて、雰囲気に人の好さがにじみ出てるって言うか。マスターの作るオムライスの卵みたいに。ふわっととろっと、包み込まれる感じ? ほんとに居心地がよくて癒される。
誰かさんにも見習ってもらいたいよ。
って、昨夜もあたしをどら猫呼ばわりしたあいつを思い浮かべた。
居候生活も2週間を過ぎると、
朝ごはんは別々に用意するとか、自分の部屋は自分で掃除するとか、
共用スペースの掃除や消耗品の購入はあたしが担当するとか。
役割分担もできて。生活自体はだいぶスムーズに進んでるけど。
翔也ってば、言うこといちいち毒があって、オレ様で。
昨夜なんかなんと……