Dance in the rain

踊リタイッテ、思エル日ガ来レバイイケド——


びっくりした。

その言葉はまるで、もう一度踊りたいって、言っているみたいだったから。

あたしはまだクラブステップを繰り返してる3人組に、視線を向けた。


帰国を決めた時。
自分が踊ることはもちろん、踊ってる人を見るのも嫌だった。
もう二度と、ダンスとは関わりたくないと思った。
関わるもんかって思った。
それはほとんど、憎悪に近い感情だった。

でも……

気持ちって、変わるのかもしれない。
今は、ダンスを見ても、ダンサーを見ても、前ほどつらくない。

純さんやマスター、それから、翔也……
新しい居場所や新しい記憶に。
あたしの傷は、癒され始めてるのかも。

大丈夫。あたしは忘れられる。乗り越えられる。
あの時の苦しみと悲しみ、絶望。
すべてはきっと、いつか思い出に変わっていく。ゆるやかに。
きっと——

あたしは翔也と歩調をそろえて、歩き出した。
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