鈍感過ぎる彼女の恋は。《完》
常識外れな彼の提案
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「うす。昨日あれから大丈夫だったか?」

「高本、おはよ。ごめん電話くれてたんだよね?気づかなくて。」


会社の前で後ろから呼び止められた。

タイ料理レストランに舞い上がって、居酒屋に置き去りにして来た高本の事をすっかり忘れていたのだ。


「今度奢る。」

「嗚呼、それはいいんだけどさ。お前あいつにあんな扱いされてんの?」


あいつってのはきっと社長の事だよね。
強引に連れてかれたんだから心配するのも無理ないか。


「心配してくれてありがと。昨日も庇ってくれて嬉しかったよ。
けどあの人あれで良いところもあるんだよなー。」


まだ垣間見えた段階だけど。
きっと悪い人ではない。が、多分不器用なのだ。仕事は人一倍器用にこなすけれど。


「お前染まってんじゃん。」

「え?そうかな?まぁお金貯るまではどっちにしろ仕事続けないとね。と思って。」

「金かよ。なら俺が何とかしてやるのに。」

「あんた…ほんといいヤツだよね。でもそこまでしてもらったら大人としてダメな気がするから遠慮しとく。」

「そう言うと思った。」


エレベーターに乗り、高本は5階の営業部フロアで降り、私はそのまま最上階の社長室へ。
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