溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「……とにかく今日はね。もしも稀華ちゃんが彼に本気で、彼も稀華ちゃんに本気なら、心おきなく話そうと思ってたことがあるの。ちょっと状況は違うみたいだけど、彼がエロ御曹司だと決まった今なら逆に話しやすいわ」
き、決まっちゃったんですかそれは……! 横暴です美鈴さん!
なんとなく異を唱えたいけれど、私がまごついている間に美鈴さんの話は始まってしまう。
「単刀直入に言うとね。哲やリーチくんのバンド、デビューが決まりそうなの」
「へえ。そうですか……。って、ええっ!?」
右から左へ聞き流す勢いで気のない返事をしたけれど、言葉の意味を理解した瞬間とんでもなく驚愕して目を見開いた。
理一が、デビュー……。そんなのいつになるんだろうって、半信半疑だった。それにもし叶うとしても、ずっと先の将来だと思っていたのに。
「すごい……。でも、すっごく急じゃないですか? 電話で話した時は、そんなこと言ってませんでしたよね?」
「そうね。でも、あの電話で稀華ちゃんと話したのがきっかけで、リーチくんに火が付いたみたいなの。いつも“売れる音楽を作るなんて嫌だ”とか言って、作曲に対するこだわりを捨てられなかったんだけど、プロになるならそれじゃダメだって、新たに曲を書き始めて」
……そのこだわりなら私も知っている。それを譲れなくて、バンドメンバーと衝突したりもしていた。過去の理一の姿を思い出すと、何とも言えない気持ちで胸がいっぱいになる。