溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


結局何も聞けないまま、私は蓮人と交代するようにシャワーを浴びた。

酔いはすっかりさめたけれど、蓮人の待つ寝室に行くのは気が重く、先に寝ててくれればいいのにな……と思いながらおそるおそるドアを開ける。するとベッドの上にいる蓮人は……。


「早く来い。お前を湯たんぽ代わりにして寝ようと思ってるんだから」


お、起きてらっしゃる……。それどころかバサッと布団をめくり、私を手招きしている。めくれた布団から覗くのは、彫像のような肉体美。

うう、なんで今日も上半身裸の状態なんだろう。湯たんぽが必要なくらいなら、服を着ればいいのに……。

とりあえずさっきの気まずい様子がないことにホッとしながら、私はベッドに近づいて行った。


「お邪魔します」


ぎしっとスプリングを鳴らして彼の隣に滑り込む。でも、正面を向く勇気はなかった。背中を向けて丸くなる私に蓮人はすぐに布団をかけてくれて、その上から子どもを寝かしつけるように私の体をぽんぽん叩き始めた。

その優しいタッチには美鈴さんの言うようないやらしさはなく、やっぱり蓮人は“エロ御曹司”なんかじゃない、と再確認する反面、どことなく寂しい。

こうして隣に寝てても平常心ってことは、“下心ゼロパーセントですよ”って言われているようなものだもんね……。


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