溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「本人は元気そうだけど……バンドのことは、特に進展はないみたい」
蓮人からふい、と目を逸らして吐いたのは真っ赤な嘘。実際は真逆のことが起きているのに、何を言っているんだろう、私……。
「……そうか」
そう言ってため息を漏らす蓮人は安堵したようにも落胆したようにも見え、なにを考えているのかわからない。
だけどどちらにしろ嘘をついてしまった罪悪感に、胸がチクチク痛んだ。
だって……しょうがないじゃない。私は、蓮人と少しでも長く一緒にいたいの。
私は嘘を正当化しようと、自分にそう言い聞かせる。
「なら、まだ……お前は、俺のものだよな?」
「え……?」
見上げると、思いつめたような眼差しと目が合い、きゅっと胸が締め付けられた。
なんで、そんな目をしてるの? それに、“俺のもの”って……いつものように、“ペット”っていう意味なら、そんな切なそうに言わないで。
「……蓮人?」
「いや……忘れてくれ」
小さく首を振ると、私の視線から逃れるように、瞳を伏せてしまった蓮人。
忘れるなんて、無理だよ……。今の言葉に。あの眼差しに。どんな意味があるというの?
ソファの上からゆっくり体をどける彼を縋るように見つめるけれど、説明してくれるどころか「シャワー浴びてくる」と部屋を出て行ってしまった。