溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


蓮人が部屋を出て行ってから、どれくらい経った頃だろう。彼の助言通り服だけは身に着けたものの、人形のように力なくベッドに横たわっていた私の耳に、ドアが開く音が聞こえた。

理一かもしれない……そう思っても、起き上がる気力はわかなかった。そのうち、誰かの気配が近づいてきて、ベッドのそばに人影が現れた。

だぼっとしたどくろ柄のスウェットに、細身のスキニージーンズ。肩にはギターの入ったギグバッグを掛け、ポケットからのぞくウォレットチェーンが動くたびにジャラジャラと音を立てる。

そのいかにもバンドマンらしい服装……懐かしいな。

そんなことを思いながら視線を上に移動させると、金髪の長い前髪からのぞく、女の子みたいにはかなげな瞳は、苦笑いを浮かべていて。


「理一……」

「なんて顔してんの、まれ。せっかく一流ミュージシャンが迎えに来てあげたのにさ」


冗談っぽく言った彼は、ギターを下ろしてベッドの足元の方に腰掛ける。それから手を伸ばして、泣き過ぎたせいで腫れているであろう私の下まぶたの辺りに優しく触れた。


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