溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「私たち……これで終わり、なの?」
最後の確認のように尋ねると、蓮人は痛みをこらえるように眉間に皺を寄せながら、頷いた。
「ああ。……サヨナラだ。二度と会うこともない」
「……っ」
「じゃあな。……元気で」
蓮人は静かにベッドから降り、部屋の出口に向かう。その気配が遠ざかっていき、パタンとドアが閉まる音を聞いてしまうと、涙腺が一気に緩んだ。
「ふ、っ……うえええっ」
こんな最後を迎えるなら、恋人になって、なんて頼むんじゃなかった。
ねえ、蓮人。今日一日で、私がどれだけあなたを好きになってしまったと思っているの。
私は、今日目を覚ましてから今までの蓮人との記憶を一つひとつを、その時感じたときめきと一緒に、蘇らせる。
あんなに楽しそうに笑って、愛しそうに私を見つめて。抱きしめて……キスをして。女としての私に、本能を突き動かされたように見えたのも……結局は、全部演技だったんだね。
……最初から、わかっていたはずなのに。
「れん、とぉ……」
何度名前呼んでも、彼が戻ることはない。頭ではそう理解していても、私は迷子の子どものように、一番愛する人の名を泣きながら呼び続けた。