溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
ほ、本当に来てくれるの? ありがたいのと戸惑いの両方がせめぎ合うなか、私は伝える。
「さっきタクシーを降りたコンビニです」
『了解。……わかりやすいように段ボールにでも入っとけ』
「な、なにそれ」
『ああでも、そしたら捨て犬というよりホームレスっぽいか……』
甲斐の呟きを聞いて、私は自分が“拾ってください”と書かれた段ボールにおさまっている姿を想像する。
うん、いい大人のくせにやばい人だ。そして完全にお店の迷惑。
「……普通に待ってます」
『ああ。中でエサでも見て待ってろ』
そんな言葉を最後に、電話は切れた。
エサ、ねえ……。そういえば、お腹すいたな。自分のご飯を買うお金くらいは手元にあるから、何か買っておこうかな。
コンビニで食事を買うなんて、理一との生活では贅沢の部類に入るから、最近してなかったけど……今日は奮発しちゃえ。
私は店内に入るとカゴを手に取り、気になる商品を次々入れていく。
おにぎりやパン、お菓子、お惣菜……食料でいっぱいになったカゴをレジに置くと、最後にホットコーヒーをふたつ頼んだ。