溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


『はい』


甲斐は三コールほどで電話に出た。繋がったはいいものの、何て言えばいいんだろう……。

さっきまではペット発言の責任取ってもらう気満々だったけど、今日初めて会った相手にそんな図々しいお願いをするなんて、やっぱり現実的じゃない気がする。


『……稀華?』

「す、すいません。なんでもありません!」


向こうの反応を待たずに、私は電話を切った。でも、即座にスマホが音を立て、甲斐からの着信を知らせる。

うう、自分から掛けたわけだから、無視するわけにもいかないよね……。


「……もしもし」

『お前な、一方的に切るなよ。何でもないならそれでもいいが、その捨てられた犬みたいな声聴く限り、なんかあったんだろ?』


……何コイツ。電話だと優しい。私の声なんて大して聞いたことないくせに、元気がないってわかるのかな。

まあ、今は自分がズタボロだから、ただそう聞こえるだけかもしれないけど。


「家に……帰りたくなくて」


ぽつりと本音をこぼすと、甲斐は間髪入れずにこう言った。


『わかった、迎えに行く。今どこだ?』



< 24 / 231 >

この作品をシェア

pagetop