溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


一瞬気まずい沈黙が流れたあと、我慢できなくなったように甲斐が吹き出す。


「お前、どんだけ腹減ってんだよ」

「しょ、しょーがないでしょ! 夜ご飯まだだったんだから!」


私はお腹を押さえていいわけするけど、ツボに入ってしまったらしい甲斐はしばらく肩を震わせていて、失礼極まりない。

だけど、超空腹なのは事実だから、怒るより先に腹ごしらえだ。


「ねえ。ホントにお腹空いてるから、さっき買ってきたやつ、食べてもいい?」

「……ああ。好きなだけ食えばいい。今持ってきてやるから」


立ち上がった甲斐がキッチンの方へ移動し、お皿と食料の入ったコンビニ袋を持ってきてくれた。

そのあとまたキッチンに引っ込んだ彼は棚を物色し始めたけど、私は構わず目の前のコンビニ袋をあさった。


「どれにしよう……」


やっぱりまずはおにぎりかな。

地元の青森はお米がおいしいからもともとごはん大好きなんだけど、上京してからは経済的事情でそんなに食べられなかったんだよね。

うちに常備されていたのはもっぱら安くて調理も簡単なソーメンで、いつかつゆを切らして醤油で食べた日には、涙が出るほどまずかったっけ。

ひもじい思い出に浸りつつ、おにぎりの包装を開け、「いただきまーす」とさっそくひとくちかぶりつく。


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