溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
チョコの箱を裏返して真面目な顔をする甲斐を見ていたら、そういえば、彼自身の仕事のことを聞いていなかったな、と思いつく。
私は食事を続けながら、甲斐に何気なく尋ねてみる。
「あなたは、どういうお仕事をしてるの? 確か、副社長さんなんだよね?」
「お、ようやく俺に興味が沸いてきたか」
ただ素直に答えればいいのに、わざとらしく甲斐が微笑むから、どうしても反発してしまう。
「べ、別にっ。いいですじゃあ教えていただかなくて」
「拗ねんなよ。俺のことが知りたきゃいくらでも教えてやる。甲斐蓮人、三十二歳、今年の春、甲斐商事の副社長に就任したばかりだ。……あとは、何が知りたい?」
ふうん……三十二歳。どうりで雰囲気が大人っぽいわけだ。
それにしても甲斐商事って、世間知らずな私でも知っている日本屈指の巨大商社じゃない。
いくら御曹司とはいえ、三十二歳という若さでそこの副社長ってきっとすごいことなんだろうな。
私にとっては意地悪な飼い主でしかないけど、おそらく仕事はできるんだろう。
「じゃあ、出身は?」
「生まれたのはアメリカだ。当時仕事で両親がそっちにいたからな。で、その後に日本に戻ってきたが、大学時代とその卒業後はしばらくまたアメリカで経営を学んできた」
「……あめりか。へえ……」