もう泣いてもいいよね
森川香澄(もりかわ かすみ)は、村にある小さな泉に立つ祠を祭る森川家の一人娘だ。

彼女は、一種独特の雰囲気があった。

のんびりしているが、自分の時間の流れを持ち、人に影響されない様な、ある意味大人びた雰囲気。


頭も良く、学級委員が似合う感じでもあり、実際そうだった。


そんな彼女も、のんびりとしながらも私たちと遊んでいた。

横で私とタケルがふざけていても、それに加わらない。

だけど、一緒にいるのが気持ちよさそうに、笑顔で見ていた。

彼女は人を見る時は真っ直ぐ見る。

その目の輝きは柔らかで、でも人の心を見通すようなそんな感じもあった。

だから、なじめない連中はいつまで経っても彼女に近づかなかった。


タケルと香澄とは学校から帰ってきてもよく山で遊んだ。

あの頃、3人が離れることはほとんどなかった。
 
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