もう泣いてもいいよね
「じっちゃん、…死んだの?」

「うん。もう4年くらい前かな…」

「そうだったんだ。知らなくてごめん」

「いいよ。おまえはそれどころじゃなかっただろ?」

「…そうだね」


4年前といえば、まだ小説を書いていた頃だ。


「おまえのおばちゃん、ずっとおまえの心配してるんだぜ」

「そうかな…?」

「そうだよ。親の心子知らずってな」

昔のタケルだったら言わないようなことだ。

「本当にあの頭の悪かったタケル?」

「あ、ひっでー。おれはこれでも今は、えっと…フリーライターだぜ」

「へえ~」

私は珈琲を口にしながら感嘆の声をあげた。

タケルは珈琲を口にすると苦そうな顔をして飲んでいた。

「なに?」

「いや、苦いな。砂糖くれよ」

砂糖を持ってくると、スプーンで何杯も入れるタケルだった。

「子供みたい」

私は笑った。

「はいはい、どうせ子供ですよ」

タケルは口をとがらせた。
 
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