もう泣いてもいいよね
もう少しで頂上が見えるというところまで登って来ると、道の先に小さな祠があった。

扉は閉められ鎖で封がされている。

中には何が祭られているのだろう。

森川家のお子守様なら、祠の中は鏡だ。

こんな山の上の吹きっさらしの祠に鏡が?


まあ、今はそんなことを気にする時じゃない。

祠の横の登山道をそのまま登ろうとすると、タケルが言った。

「皆美、そっちじゃない」

「え?」

振り返ると、タケルは祠から左側の道には見えない草むらに入ろうとした。

「そっちは道じゃないよ」

「こっちでいいんだ。昼間来ればわかるけど、かすかに道の跡があるんだ」

香澄は無表情のままタケルについて行った。

ライトで足下を照らすと、確かに人が通った跡がある。



しばらく草むらをかき分けながら歩いたが、急に目の前が開けた。

遮る木もなく、村の灯りが一望できた。

空には満月と瞬く星たちがきれいだった。

ちょっと先は崖のようだ。

タケルたちは山肌に沿って、右の方へと歩いていった。


しばらく行くと、行き止まりになっていた。

そこまで行くと、右手にぽっかり洞穴があるのに気が付いた。

中をのぞき込むと、かすかに月の光に照らされて、何かがあるのが見えた。

私はゆっくりと入っていった。

香澄は付いてきたけど、タケルは外で私たちをじっと見ていた。


香澄とライトで照らしながら、入り口から5mも行くと、それは木で作られた柵だというのがわかった。

そこから奥へ入れないように下から上まで洞穴の形にぴったりと作られている。

真ん中には扉があるが、鎖で封がされている。

そこからライトを当て、目をこらして奥を見てみるとかすかにそこにある物の形が見えた。
 
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