黄金のラドゥール
「弟さん。」
なるほど義理とは言うけれど弟皇子も美男子だった。
コウジュンより線が細く柔らかな印象を受ける。眼差しに芯のある感じはとても似ている。

「ケイジュン皇子、それは本当ですか?!」
ガインが信じられないと目を大きくしてケイジュン皇子を見ている。
ケイジュン皇子はうなずいて答える。

なんだろうと思っていると、
「ケイジュン、誇張しすぎるなよ。」
コウジュンがそう言う。
青い瞳が一瞬にして曇ってしまった。
コウジュンの苛立たしげだった理由はハルではなかったようだ。

くすっと笑うケイジュン皇子と目があった。
「こちらが兄上の寵愛の姫ですね。
先程の振る舞い、勇ましかったですよ。」

ハルは息を飲んだ。
「っ、まさか、さっき、、?」

「はい、私もおりましたよ。」
動揺していると、さっと手を取られ、手の甲にくちづけが落とされた。あまりに自然で流れるような動作だった。

「初めてお目にかかります、ラドゥール様。」
近づいたケイジュン皇子の背格好もコウジュンに似ている気がする。
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