黄金のラドゥール
ユンハは顔を上げた。
神官長ミムリは先日と同様の格好で、どの神官らとも違って簡素に見える。

だが、彼が神官長なのだ。
簡素な服装と異なり、案内された部屋は貴重そうな書物類が並び、磨き込まれたテーブルと椅子がきちんと配置されている。

「お掛けになってください。」
目の前の椅子を勧められ、座る。

「あなたはお城からの使いだとおっしゃいましたね?」
「はい、第3皇子コウジュン様の使いで参りました。こちらの神官、ギムリについて伺いたいのと、直接彼に会って話をーー」
「わかりました。」
ミムリはそれ以上を遮り、言葉を止めた。

「申し訳ありません。先にこちらの話をさせていただいてもよろしいでしょうか?
時間が迫っているのです。
そして、多少なりともギムリにも関連することと思います。」

コウジュンの瞳が光った。
「伺います。」

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