黄金のラドゥール


神殿から駆け出していく馬が二頭、
それを見つめるのは若い神官長だけではなかった。


この動きを皇太子の側も逃すはずはなかった。





黒い影が皇太子の部屋へ集まる。



「確かに月光がラドゥールを消すと言っていたのだな?」

「はい。
ラドゥール付きの侍女が窓辺から離れるよう言ったところ、ラドゥール自身の言葉で「月はまだ出ていないから問題はない」と。」

「白亜の神殿に送り込んだ間者からも、ミムリが月の動きを確認していたと聞いております。
まず間違いないかと。」


彼らは報告を終えるとまた散って行った。




「月の光とな、、」

「皇太子殿下、今しがたの報告ですが、信じて良いかと思います。女が月光を避けているような行動は以前から耳にしておりました。」
「なに?ガエンザ、続けよ。」

「はい。避ける理由があるのなら、避けられないよう誘い出してやれば宜しいかと存じます。」

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