嘘つきな恋人
Dragonに着くと、美鈴の姿は見えなかったけど、
カウンターで美鈴スペシャルを頼むと、
ドラゴンが真面目な顔のまま奥を指差し、
チーズを俺の前に置いたので、
奥の個室か。
とわかって
そのままチーズを持って奥の部屋の前に立つ。

美鈴が泣いていないかと心配していたんだが…

男の声が滑らかに結婚して、子どもをもとう。
とか、勝手な事を言っていたので、
どうにも腹がたって、
思わず、部屋に踏み込んだ。


部屋にいた誰もが驚いていたけど、
俺も想定外の自分の行動に驚いたよ。

俺は美鈴をほっておけないみたいだ。

俺が普通に会話に加わり、
美鈴と寝た。というと、

余裕があった浮気男が、顔色を変える。

美鈴が本気で別れようって考えていたのが
やっとわかったんだろう。

アホ。

おまけに別れてからもまた、好きになってもらえるように頑張る。

とか言いやがって、

そんなに大事なオンナなら、
最初から浮気なんてするなって感じだよな。

でも、一応別れた形になって俺はホッとする。

まあ、浮気男はまだタップリ未練があるのはよくわかったから、

俺は出来るだけ美鈴のそばにいて、俺の気持ちをわかりやすく伝えるだけだ。

俺は美鈴をリンと呼ぶことにして、

あいつと同じ名前で呼ぶのをやめる。

俺は特別。

美鈴にも早くそう思って欲しいと思いながら、カウンターでグラスを傾けた。
< 115 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop