嘘つきな恋人
俺はそれからもDragonに週に1度は顔を出してカウンターに座り、
ドラゴンと仲良くなり、さくらちゃんとも嫌がられない程度に話をした。

ドラゴンはこの辺りのずっと住んでいて色々な情報を持っていたし、
多趣味な砕けたオトナの男なので、話も面白く
次第に打ち解けて、俺がどんな男か見極めているようだった。

俺のプライベートなんて隠すこともない。

いや、高校教師。っていう設定は自分でも守っていたけれど…
だって、美鈴にはそう言っちゃったし、
最初から嘘つきのレッテルはマイナスすぎるだろ。

「三島君はさ、美鈴ちゃんみたいな真面目な控えめな子が好みなわけ?」
と、ドラゴンはしばらくしてからやっと探りを入れてきた。

「いや、全然。
いままではなんていうか自立心の強い、
俺なんか必要ないって感じの子が好きだった。
仕事が忙しかったし、勝手に遊んでくれてたほうが気が楽って
そう思ってた。」

さくらちゃんはカウンターに座って甘いカクテルを飲んでいるから、
店は今日は結構暇だって事だ。

「でもさあ、そういう子って俺が夢中になると、逃げて行っちゃうんだよねえ。
俺って結構独占欲の強い、面倒な男らしい。」

「ストーカー的な?」とさくらちゃんが顔をしかめる。

「いや、振られると、しつこく出来ないかな。
俺って愛されたいし、好きなだけ愛したいタイプ?
夢中になると、毎日でも会いたくなっちゃうんだよねえ。
アポなしで家に行って、迷惑な顔をされると凹んだり…
自分の時間を大切にしている女の子にはきっと、迷惑なんだろうな。
俺は相手に会いたいとか言われると嬉しくなって
すぐに会いに行っちゃうんだよね。」
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