嘘つきな恋人
5階の角部屋。

玄関の前で立ち止まると、

「開けて。部屋に誰もいなければ玄関で帰るよ。」

と三島さんが真面目な声を出すので、私はため息をついて

「誰もいないって。」

と言いながら鍵を開け、いっしょに玄関の中に入る。


暗い部屋の電気をつけ、三島さんを玄関に置いて部屋を確認する。

「誰もいません。」と玄関に戻ると、

「念のため鍵も変えれば?合鍵は俺にくれてもいいよ。」

とくすんと笑って私の手を引いて、抱きしめ、顔を覗き込む。

「…離してください。」と言うと、

「おやすみのキスをしてから。」とそっと私の唇に唇を付けて、私から離れた。

「…」

…ちょっと、何してるの?と思っても、言葉が出ない。



「今度いつ会える?」

「わかりません!」と赤くなって顔を背けると、

「しようがない人だな。また、ドラゴンに頼まなきゃ。」

と「じゃ、」と手を振り玄関を出て行く。


「な、なんで私なんですか?」と思わず、聞くと、

「…うーん、俺にも謎なんだよねえ。」とちょっと息をついて

「ちゃんとチエーンかけて。」と手を振っていなくなった。


…私の嫌がることはしないっていったじゃん!

…でも…

私は

嫌がってはいなかったのかな?
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