嘘つきな恋人
板前さんの用意してくれた
美しく盛り付けられたお刺身や、
繊細な味の野菜の炊き合わせや、
海老シンジョウや、鰻の巻き寿司なんかをゆったりした気分でいただき、
ビールを飲んだりしながら、窓から見える花火を楽しむ。

「綺麗。」と窓の外の花火に釘付けになる私に

これが美味い。とか、何を飲む?とか微笑みながら、
恋人の様に私の顔を覗きこむ
三島さんが隣にいて、なんだかおかしな気分だ。


謎だ。

一体私のどこが気に入ったんだろう?

容姿も、仕事の出来も、気の利き方も、普通の域を出ないのに…


食事の後、屋上に上がり(このお家専用だ。)
みんなで線香花火を楽しんだ。
(その間にリビングが片付けられ、照明を少し落として夜のBARのようになる。)

ドラゴンが言い出して、誰が長い間、線香花火を光らせられるかっていう、ゲームが始まっているみたいだ。
単純なモノだけど、
オトナになってそんな事をするのはない事なので、
みんな結構本気で参加していて、楽しそうな笑い声が聞こえている、



私と三島先生は賑やかな場所を少し離れて線香花火を楽しむ。

海風が強くて、しゃがんで身を寄せあって火をつけ
パチパチと小さく輝く2つの火花を見つめる。

すぐに消えていく花火は儚くてチョット切ない。

< 54 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop