嘘つきな恋人
私が雑貨店で仕事の時に使う少しカラフルな髪留めを選ぶと、
「よく似合う。初デート記念に買っても良いかな。」
と私の手から取ってサッサと会計をしてしまう。

私の返事を待たないところが相変わらずだ。

「これで、仕事の時も思い出してもらえるでしょ。」とニッコリする。

そういうところが女の子に慣れてるって思うんじゃん。
と呆れた顔で会計の済んだ包みを受け取ると、

「不満げな顔だな。
ネックレスや指輪が良かった?」とくすんと笑うので、

「絶対に要らない。」

「そういう頑なな感じ。損をしそうだけど、俺は良いって思うよ。
他の男からもむやみにプレゼントもらわないでしょ。
恋人として安心出来る。」

「恋人じゃないけど。」

「もうじき恋人でしょ。」

「決まってませんけど?」

「リンの決心がついたら、すぐに言ってよ。
お互い好きだって俺は思ってるから。」と私の顔を覗き込む。

私は返事が出来ずに、黙り込む。

「お腹空いたね。夕方にホテルのフレンチ予約してあるんだ。
あんまり帰りが遅くなると、
俺が狼にならないかリンは心配になるでしょ。」

とまた、私の手を取り、歩き出す。
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