嘘つきな恋人
アイスを買ってもらい、ベンチで並んで食べる。
三島さんは違うフレーバーを選んで、
私に先に一口スプーンで食べさせてくれた。

やっぱりオンナノコに慣れている人だ。
キチンと私が食べたいと迷ったアイスをチョイスしている。

「これも美味しいですね。」と言って微笑むと、

「リンのも、味見したい。」と口を開ける。

これってアーンってやつ?と顔を見ると、

口を開けたままで私の顔を見ている。

しょうがないオトコだ。

私がモジモジとスプーンでアイスを差し出すと、嬉しそうに食べて、

「こっちも美味いね。」とくすんと笑った声を出した。

きっと、私がこういうのに慣れてなくて、
赤くなってアタフタしているのが楽しいんだろう。

…イジワルなオトナだ。



アイスを食べた後はショッピングモールの中をのんびり歩く。

輸入雑貨店や、カジュアルな洋服を見て回る。

三島さんはTシャツを見たりして、私の意見を聞いて買ったりし、
手を引っ張って、私に水着を選ぼうとしたりする。

「ビキニはどう?」とニコニコするので、

「絶対いや。」と言うと、

「リンはお腹が綺麗だから、出してもいいのに…」

と派手なビキニを選ぼうとするので、

「水着って何年も着てない。」と顔をしかめて水着を戻すと、

「今度はホテルのプールはどお?ハワイっていうのも良いけど…」

と私に笑いかける。

「…ハワイって日帰り?」と睨むと、

「まだ、泊まりはダメ?」とくすんと笑って私の肩を抱いて、顔を覗き込む。

「お付き合いしてないはずですけど…」と腕を抜け出ると、

「リンはなかなか手強い。」と私の手を捕まえて、また、歩き出す。

相変わらず、わかりやすく口説いてくるなとチョットおかしい。

私がクスクス笑うと、

「リンの笑った顔が好き。」と笑顔を見せる。

王子の笑顔もかなりドキドキするよ。

と心の中で、言っておいた。



< 61 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop