【完】こちら王宮学園ロイヤル部



隣、目の前、斜め前の3人からお誘いをもらうけど。

……誰を選んでも平然と寝れる気がしないのはどうしてだろう。



「あら椛大事なこと忘れてない?

……もうひとり女がいるでしょ、あたし」



「わかったいくみに連絡する」



「冗談に決まってるからその手に持ったスマホを置けいつみ」



……この会話の流れだと、夕帆先輩もだめだ。

となれば選択肢は限りなく狭まるわけで。一度口を閉ざしたわたしの服をつんつんと引いてきたのは左隣に座る彼。



「ぼくといっしょは……?」



「うん、ルアにするわ」




即答。っていうかはじめからルアが良かった。

わたしの答えを聞いて何人か不服そうだけど。不服そうにされても困る。わたしは平穏が欲しい。どう考えてもルアと同じ部屋が一番平和に眠れる。



「……まあいっちゃんよりはルアの方がいいか」



「椛先輩よりはルアの方がいいですね」



「……ルアは普通に許容なんじゃねーか。

いつみが納得してねーって顔してるけど、俺もルアで正解だと思うわ」



「ルアはいつでも癒しだものね」



「……お前ら俺のことなんだと思ってんだ」



不満げに彼が小言を漏らしてるけど、みんなどこ吹く風。

しきりに「いつみはだめだ」と言っているけれど、わたしもそう思う。彼はこの間キス未遂があるし、その点に関しては信頼できない。



< 293 / 655 >

この作品をシェア

pagetop