【完】こちら王宮学園ロイヤル部



いつみ先輩は最後まで「納得できねえな」って言ってたけど。

みんながルアでいいって言ってくれたから、ルアと同じ部屋にお邪魔させてもらうことになった。



「そういえば、明日はお昼前にまた車で迎えに来てくださるんですよね?」



「そうよー。

ご褒美旅行って言われてるけど即決だしノープランだし、こんな適当な旅行で悪いわね」



「いえ。楽しいですよ」



みんなで海の方へ来て、砂浜を散歩して、バーベキューを楽しんで、夕日も見れたし今はこうやってみんなで豪華な夕食を楽しんでる。

主にだらだらと会話しているだけだけれど、本当に楽しい。莉央の話も聞けたし、十分満足だ。



「明日の朝はやく起きたら、また散歩するか?」



言われて顔をあげれば、先輩が優しい表情でわたしを見つめていて。

その優しさにどうしてか一瞬息が詰まったけれど、「はい」と頷いた。




「……んじゃあ、食べて花火しようじゃねえの」



「そうですね」



おしゃれなバルなんかで出されそうな料理を、たくさんあったけれどみんなで平らげて。

外に出ればすっかり暗くなっているから、「気をつけろよ」といつみ先輩が砂に足をとられないように手を差し出してくれた。



「、」



その手を握って、思う。

普通ではない"王宮学園"。──その頂点に立つのは、覆ることのない絶対王者。



「南々瀬?」



手をつないでいれば、体温が混ざる。

それがひどく切なく感じて、胸を締め付けられるけれど。気のせいだと言い聞かせて、「なんでもないです」と笑ってみせた。



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