【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「やっば……! 超かわいいんだけど!」
「ちょ、写真撮らせて」
がっつりとメイクを施されて、髪まで巻かれてしまった。
……なんでこの子たちメイク道具からアイロンまで常備してるんだろう。
「ねえこれやばくない!?
あっ、ごめん姫川さん……! はいこれ鏡!」
渡された鏡で、おそるおそる自分を覗く。
そうすればいつもよりも瞳がぱっちりしているし、チークのおかげが顔色も良く見える気がする。……すごい。
「女のあたしらから見てもこんなにかわいいんだし、珠王先輩も絶対かわいいって言うよね」
そんな些細な発言に、ぴくりと肩が揺れる。
「そう、かな?」と首を傾げたけど、みんなコクコクうなずいてくれて。
「お邪魔しま〜す。
ここに南々ちゃんいる〜? ……って、」
ガラッと開いた扉と、顔を覗かせる椛。
目が合ったかと思うと、彼は一瞬にして固まってしまった。……なにそれどういう反応?
「え、南々ちゃん……?
えっ、ちょ、待って……うわ……」
「……なんか失礼じゃない?」
「いや、あれ照れてるよ?
騎士くん顔赤いもん。かわいいんだって」
女の子たちに言われて彼をみれば、確かに顔が赤い。
ニヤニヤ楽しげに笑った彼女たちにぽんと背中を押されて彼の前まで歩み寄れば、椛は手のひらで隠した目をちらりと指の隙間から覗かせて。
「……抱きしめていいですか」