【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「南々瀬」
「は、い……」
「……考え込むのはお前の悪い癖だな」
愛でるような声でそう言って。
呼吸の整わないわたしの上から退いた先輩は、ベッドと背中の間に腕を通し、身体を起こしてくれる。
「今までと変わらずにいればいい」
起こしてもらったのはいいものの、どうすればいいのかわからずに先輩を見る。
それに気づいた彼は心底穏やかにそう口にする。
今までと変わらずにいればいい……?
「お前の抱えてるもんぐらい、なんとなくわかる」
「な、んで、」
「これでも珠王の跡継ぎだからな」
ため息を吐いて、わたしの頭を撫でる先輩。
そのため息がなぜか、安堵のように聞こえた。
「どうせお前はこのあと離れるつもりだったんだろ。それも知ってる。
……だから俺に何も言わずに去ろうとしてた今までと変わらずに、動けばいい」
「………」
「俺が解決してやるから。
……ぜんぶ解決したら、迎えに行ってやる」