promise
「優羽~! ちょっと待ってよー」
「待ってるから早く来いよ」
……また別の女の子だ。
登校ラッシュで賑わう通学路を横切っていく高い身長の男の子と、
それに駆け寄っていく派手な茶髪の女の子。
ちょっとむくれた女の子に手を差し出して、見慣れた笑顔で笑う優羽を初めて見たのはいつだっただろう……。
あの頃わたしの頬にキスを落として結婚を約束した男の子は、
女の子たちが放っとかない程の綺麗な顔立ちのイケメンに成長し、
わたしの想いなんて知る由もなく、知らない女の子と手を繋いで校門をくぐっていった。
もう見慣れたはずのこの光景を後何回見たら、わたしの胸の痛みは消えてくれるんだろう……。
優羽……。
聖夜のお星さまに誓った約束は、もう忘れちゃったの?
本人に聞けない言葉が、頭の中に浮かんでは消えていった。