シンデレラの魔法は解けない
ヤンキーの……『平』さん。
その言葉に飛び上がりそうになる。
人違いだよね。
あの平さんがヤンキーのはずがない!
だけど……もし仮に、ここにいるのがあの平さんだったらどうしよう。
あたしは、平さんを嫌いになるの?
……ううん、そんなことでは嫌いにならない。
あたしは確かに、オトナで優しくてかっこいい平さんが好きだった。
だけど、平さんが素敵な平さんでいられるのも、こんな時間があるからかもしれない。
平さんを好きになるということは、ヤンキーの平さんも好きになるということだ。
土曜日、平さんはあたしを助けてくれた。
あの時、ヤンキーの平さんだったら、助けてくれなかった?
……いや、きっと助けてくれただろう。
だって平さん、少しだけヤンキーみたいだったから。