シンデレラの魔法は解けない
「黙れ、クズ」
唸るように吐き出す『平』さん。
その声に震えてしまう。
「お前、前の女は何年だった?」
「五日」
「ぷっ……五日か。
どうしてすぐ別れたんだ?」
「分かってんだろ。
……俺がてめぇらとツルんでるのがバレたからだ」
あたしの心臓の音が、すごく大きく聞こえた。
そして、身体の震えも治らない。
「俺、マジで悩んでんだ。
お前とつるむのやめようかって」
「やめれば?」
「でも、そうしたら仕事ばっかりでアタマが狂いそうになる」
「仕事な……
すげぇ奴になったもんな、ヤンキーの平さん」