シンデレラの魔法は解けない
二人がカフェから出て、扉に付いたベルがカランと音を立てて……
それから、ようやく頭が鈍く回転を始めた。
「麻友、彼氏が出来たの」
「良かったじゃん、おめでとう!
今度あたしにも紹介してね!」
「ねぇ、麻友?
武雄の誕生日プレゼント、何がいいかなぁ?」
「うーん……財布とかなら無難じゃない?」
「麻友?武雄の部屋に、ピアスが落ちてたんだけど……」
「きっと、友達か何かだよ。
藍の彼氏は浮気する人には見えないよ?」
あれは全部、演技だったんだ。
二人であたしを裏切ったんだ。
考えれば考えるほど、頭が真っ白になっていく。
今、あたしを埋め尽くしている感情は、怒りや悲しみなんて一言で表現出来ないようなもので……
ただ、白い封筒を見つめて震えていた。