インタビューはくちづけの後で
小さな男の子が泣きながらフラフラ前を通り過ぎようとしている。

誰もそばにいないのかしら?迷子かな…と思って

しゃがんで声をかけると、私の膝に掴まって大きな声で泣き出した。

あっ…これじゃ動けないかしら。

「どうしたの?誰と来たの?」と聞いてみるけど、大声で泣いているばかりだ。

弱ったな…と思いながら周りを見回すと、アニメのキャラクターの人形のブースがあった。

とりあえず、膝にしがみつかれながらジリジリとブースに近寄り、

展示してあった犬のぬいぐるみを掴む。
(一応スタッフのTシャツを着ているので、社の人間だと分かってもらえただろう)
私は担当している人にペコペコ頭を下げながら、迷子の男の子に向き直った。

「僕『ペロリ』だよ。君の名前は?」とキャラクターの名前を言いながら下手な声色を使って話しかけると、

「僕は『せいたろう』。」と泣きながら返事をしてくれた。
良かった。素直な良い子だ。
ぬいぐるみの手を使って、男の子の頭をよしよしと撫でながら、

「どうしたのお?」と聞いてみると、

「お、お、お母さんがいなくなったー。」とエッエッっとしゃくりあげながら、また、声を出して泣き始める。

「そっか。僕も一緒に探してあげるよ。一緒に行こう。」とぬいぐるみと一緒に抱き上げると、
ぬいぐるみを抱きしめて私にギュッと掴まった。

…可愛い。

私はブースの担当者の会釈して、せいたろう君を会場の迷子のコーナーに送り届ける事にした。
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