私達で叶える夢の物語
喪った記憶、叶えられない未来
病室のドアを軽くノックする。
返事はない。多分、入ってきてもいいってことなんだと思う。
「 入るね、? 」
相手にギリギリ聞こえるかな、?ってぐらいの小さい声でドアを開ける。
別に、相手にビビってるわけではない。
未だ、忘れられてるの、って思うとただ怖くなるだけ。
「 えぇと、昨日の、?名前 … 確か …」
「 白銀 涙です 、」
声が震えていた。相手はごめんごめんと頭を掻きながら言う。
名前すら覚えてないんだ。
そう思うと辛くって、悲しくって死んでしまいたくなる。
泣きそうになっている私を見て相手はおどおどしている。
「 奏、そんなにおどおどしなくても … いいんだよ? 」
そう、優しく声をかけた。
私が奏と呼んでいる相手は一ヶ月前、記憶を全部うしなった。
記憶がなくなるまでは私達は幸せだった。
なのに、そんな私達に神様はイタズラしてきて 人生を狂わせた。
       *
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