あなたは誰にバツを与えたいですか？
「わたしは平気だから、気にしないで。学校を休もうとは思わないの？」
「親には言えないよ。いじめられているから、学校を休みたいなんてね」

　わたしは苦笑いを浮かべた。

「もう少し行ってみてだめそうなら親に相談してみようとは思う」

　わたしは口を噤んだ。
　だが、わたしの両親は厳しい人だ。いじめられているからと言えば、素直に休ませてくれるとは思わない。
　大人になればストレスにさらされるのだと無理に往かされるような気はしていた。

　そのとき、永和が一枚の名刺大の紙を取りだした。そこにはＱＲコードが表示されていた。

「これは復讐サイトなの」
「復讐？」

　その言葉にわたしの心臓がどくりとなった。

「でも、そんなのわたしが犯罪者になる」
「大丈夫。絶対に足がつかない復讐サイト。違法じゃないもの。代償はあるけど、耐えられないと思えばたよってみてもいいかもしれないよ」

　彼女はわたしの手をつかむと、それを握らせた。
　彼女はそのまま踵を返し、帰っていった。

　わたしは永和とそのメモを交互に見つめていた。
　ここにアクセスしたら、クラスメイトからの嫌がらせから逃れられる。

　そう思ったわたしの肩が突然背後からつかまれた。
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表紙・目次

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