不埒な専務はおねだーりん

仕事終わりにお兄ちゃんの病室に行くと、浜井さんから昼間の件で連絡があったのかこっぴどく叱られた。

「お前はバカか?」

食事用の簡易テーブルに頬杖をついたお兄ちゃんの態度は病人とは思えないほどふてぶてしい。

「見つかったのが浜井で良かったな。もしセクハラだのモラハラだのとうるさい第三者に知られていたら、コンプライアンス的に完全アウトだからな。あいつ、曲がりなりにも執行役員だし」

「反省してます……」

おねだりと引き換えに篤典さんにお仕事をしてもらっていたのがバレた……。

サポートする立場にありながら、篤典さんの暴走を止められなかったことを私だって心底後悔している。

「今後一切、篤典のおねだりをきくのは禁止するからな」

お兄ちゃんはそう無情に告げると、ベッドに寝転がって私が買ってきた漫画を読み始めた。

「ええ!!どうやって篤典さんに仕事をしてもらえばいいの!?」

途方に暮れてゆさゆさと身体をゆすると、邪魔と言わんばかりに手を振り払われた。

「そんなの自分で考えろよ、バーカ!!」

バカって二回も言った!!

「お、お兄ちゃんはどうしてたのよ?」

「どうもしねーよ?優し~く“仕事してくださいね、専務”って頼むだけだ」

……絶対嘘だ。

優しくともなんともない方法で脅していたに違いない。

それでもなお縋りつこうとすれば、くつろぎタイムを邪魔されてイライラし始めたお兄ちゃんは完全無視を決め込んだ。

……こうなったら、自分で何とかするしかない。

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