わたし、結婚するんですか?
 はいはい、と思いながら、カートをついて先を歩くと、

「待て、こら」
 俺が押す、と遥久が横からカートを奪いに来た。

 争うようにカートを押しながら、
「葉山に来いって、料理、課長が作るんですか?」
と訊くと、

「俺は生春巻きだけだ」
と言うので、

「美味しいとこどりですね」
と言うと、

「じゃあ、お前、生春巻き作れよ」
と言ってくる。

 いやいや。
 作れませんけどね……。

 そこで、遥久は後ろを振り返り、あとは自分の責任でないとばかりに、
「あとは洸が作るからな」
と葉山に言っていた。

「そんな。
 なんて洸に可哀想なことを」
と葉山は遥久に文句を言っている。

 ねえ、ちょっと待って。

 私、もうちょっと料理出来ますからね、二人とも……と思っていると、

「いや、これも修行だ」
と遥久が言ってきた。

「可愛い子は崖から突き落とせってライオンが言ってるだろ」
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