わたし、結婚するんですか?
 



「……始末しておくべきだったな。
 洸と付き合う前に、昔の女は全部」

 後腐れのないように……と目の前で呟く遥久を見ながら、盛田は、

 ひいっ、本当にやりそうだっ、と思い、固まっていた。

 昔からこういう人だったのだが、昔から憎めなかった。

 男も見惚れるほどの容姿で、頭脳明晰。

 なのに、なんだかんだで、生き方が不器用。

 だからだろうか。

 この年まで、誰も本気で好きにはなれなかったようだった。

 もしかして、洸さんが初恋なのかな、この人。

 それにしても、まさか、この人がこんな風になるとは――。

 女性との付き合いは誰よりもスマートにこなせると思っていたのだが、所詮、本気ではなかったからなのか。

「洸さんが気づいてくれるといいですね」
と言うと、また考え込んでいた遥久がこちらを見る。

「最初の相手が誰かとか。
 今まで誰と付き合ったとか。

 恋をするのに、思ったより関係ないってことを。

 今、誰が大事なのかに尽きますよね」
と微笑みかけると、

「ありがとう、盛田」
と言い、遥久は、ふらりと立ち上がる。
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