わたし、結婚するんですか?
 




 みんな、課長がそういう人だってわかってたんだ……。

 おかーさんは経験で、おにーちゃんはたぶん、調べさせて。

 洸は街中を走っていた足を緩める。

 振り返り、課長、追ってこないな、と思う。

 遥久が言うように、逃げ足は速いので、うっかり、かなりのスピードを出してしまったのかもしれないとちょっと思った。

 瞳が以前、
『それでさ。
 ちゃんと彼氏が追って来られるように、走り去ったわけ。

 曲がり角とかではちょっと止まって、足音が近づいてくるのを聞いたりしてさ』
と彼氏と喧嘩したときの話を笑ってしていたのを思い出す。

 ……速すぎたかな。

 いやいや。

 私は別に課長に追ってきて欲しいってわけじゃないですしっ、とまだ姿の見えない遥久に向かって言い訳をする。

 洸は遥久が、追う気力もなく、二、三分、ガックリ項垂れていたことを知らなかった。

 ふと視界に、この間、此処に来たとき、行ってみたいな、と思ったジェラート屋さんが入る。
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