わたし、結婚するんですか?
 




 それから、小一時間くらい経つと、美沙はもう釣りに飽きたらしく、川原に下りる石段にお菓子を広げ始めた。

「洸ちゃん、お菓子あげる」
と美沙は並んで座る洸に言っている。

 遥久はまだ、葉平と釣りをしていたが、川べりから、そちらを振り返り見ていた。

 穏やかな昼下がり。

 石段には美沙と洸がハンカチを広げ、その上に、カラフルで小さなお菓子をぶちまけている。

 まるでおままごとでもしているかのようなその微笑ましいその光景を眺めながら、洸は可愛いママになるだろうな、と思っていた。

 ……子どもの担任が若い男で、洸に惚れたらどうしよう、とまた、しょうもない心配をしていると、美沙は洸の手のひらにお菓子を入れながら、

「キャベツ太郎さんも欲しかったんだけど。
 おとーさんが駄菓子は二百円までって言うから」
と言っていた。

 そうか。
 それで、何個買ってもいいって言っても、二百円までしか買わなかったんだな、と感心していると、洸も、美沙に、

「偉いね」
と微笑む。
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