わたし、結婚するんですか?
 



「よし、そろそろ帰るか。
 片付けろ、葉平」
と少し日が落ちてきたので、声をかけると、

「はいっ」
と葉平は軍隊のごとき勢いで片付け始める。

 自分が子どもだろうが、容赦なく物を言うからだろうかな、と思っていると、洸が、
「すっかり課長に懐いてますね、はーさん」
と笑って言ってきた。

 懐いているのか、これは。

 普段、子どもと接しないので、よくわからないが。

 だが、まあ、帰り際、子どもたちが風船ガムを上手く膨らませられないので、膨らまして見せてやり、出来るように指導してやったら、偉く感心された。

 そのせいか、帰り際、美沙に車のドアを開けてやると、乗る寸前、小声で言ってきた。

「今日はありがとう。
 いっぱい遊んでくれたから、

 ……この間のことは、おとーさんに言わないでおいてあげるね」

 ひっ、と身をすくめたとき、美沙は自分でバタンとドアを閉めていた。

 社長より、この娘の方が恐ろしいな……、と思う。









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