わたし、結婚するんですか?
 



 玄関先で、
「また来てねー」
と葉平に手を振られ、美沙には、

「今度、洸ちゃんの結婚式に着ていくドレス、選んでねー」
と手を振られ、ちょっとなごり惜しいような気持ちで、遥久たちは社長の家を後にした。

 車の中で、しんみりしていると、洸が少し笑って、
「楽しかったけど、疲れましたね」
と言ってくる。

「子どもと遊ぶと、普段使わない筋肉を使うからな」

 心も身体も、と思っていると、洸がいたわるように言ってきた。

「そのディナー券、いつでもいいみたいだから、今日はうちで食べますか?
 私がなにか作りますよ」

 やさしいな、洸。
 自分も疲れているのだろうに。

 だが――。

「お断りだ」
と遥久は言った。

「料理は俺が作る」
と言いながら、いつものスーパーの駐車場に車を乗り入れると、

「えー、もう、信用ないですねー」
と洸は苦笑いしていたが。
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