わたし、結婚するんですか?
 いやいや、落ち着け。

 洸も子どもの頃に、大人にチュッとかされていたのかもしれん。

 ならば、洸のファーストキスの相手は、親御さんとか、

と洸の親にまで嫉妬しそうになったとき、ちょうど、社長夫妻が帰ってきた。

 そうだ。
 まさか、こいつとかっ、と洸の兄貴代わりだった章浩を思わず、睨むと、

「また、なんなんだ、お前はっ。
 うちの子がなにか迷惑かけたかっ」
と怯えながら言われてしまう。

 その様子に、

 腹が立ったときに、

 ――しかも濡れ衣かもしれないことで、

 こんな気安く睨める社長も他にないので、ぜひ、誰にも追い落とされずに頑張って欲しい、と思ってしまった。

 社長の可愛らしい奥さんは、ただ横で笑って見ている。

 社長の気が洸に向かないように、そのまま可愛く居てください、と思いながら、奥さんからお礼のディナー券をいただいた。





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