呼び名のない関係ですが。
フレンチトーストのことを言ってるのか、それともこの朝食を作る行為を言っているのか。

私が言葉の意味を図っているあいだに、彼は手を合わせてご飯を食べ始めた。

「この間も夕方、事務所の隅っこでこっそりプリン食ってるの見かけましたけどね、あれが三峰さんの夕飯とか言わないですよね」
「プリン?」

それなら高遠さんに見られたのは、きっと先週の金曜だ。

午前中の社内会議が伸びたうえに午後は客先との打ち合わせが詰まっていて、昼食を食べ損ねた日。

事務所に戻って来たときにはすでに定時近くて、空腹も疲労度も最高値だった。

でも、プリンなんか食べてたのは……。

最近、高遠さんに誘われるのが金曜の夜だったから、というのもある。

結局のところ先週は彼から声が掛からず、一緒にいることを前提に考えてた自分にこっそり赤面した記憶が痛い。

挙句、週明けには後輩に高遠さんのプライベートショットの隠し撮りなんて、見たくもないものを見せられて。

「ああ。あれは……遅いお昼」
「げ、マジで」と、高遠さんは実に嫌そうな顔で私をみた。

「栄養補給だから。ゼリーでもあるし」
「いや、あれとプリンを一緒くたって、ないっすね」
「同じブヨブヨものでしょ、お腹に溜まる」
「ブヨブヨってね。昨日も夕飯食べたんですか」
「……食べましたけども?」
「まさかスナック菓子だけとか言いませんよね」

コンビニで新商品のお菓子を買い込んで、それを食べながら映画を見るのは悪くなかった。

少しダメな大人みたいで。
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