呼び名のない関係ですが。
ゆっくりと話しながら歩いているうちに、居酒屋が建ち並ぶ繁華な通りを過ぎて街路樹に囲まれた公園の脇に差し掛かった。
街路樹の間にはガス燈のデザインを施した街灯が等間隔に並んでいて、優しい灯りが高遠さんの顔に深い印影を作る。
「俺ね、樹希が兄貴にあこがれてたのは知ってたんです。それもずっと、かなりガキの頃から」
お兄さんが来た瞬間の相田さんの様子を思い浮かべれば、それは容易に想像できる。
彼を一心に見つめる彼女の瞳は雄弁だった。
お酒の力で多少タガがはずれているとしても、付き合いはじめてからある程度時間が経っているのにあんな熱量を感じさせるって、凄いパワーだなと思う。
「高校の頃、内容は何だったか思い出せないけど樹希に腹が立つことがあって、仕返しを思いついたんですよ。まずはうちの母親に、兄貴に初めての彼女が出来たことをばらして。それから少し煽って、彼女を家に連れて来させるように仕向けたんです、俺。それから樹希に声を掛けたんっすよ。うちに来い、面白いのが見れるからって」
「呼んだの? わざわざ?」
「そっ、結構えげつないでしょ」と、高遠さんは頷いた。
「あいつがショック受けたところで、俺の仕返しはすっきり大成功の予定だったんです。けどショックを受け過ぎた反動なのか分からないけど、そのあとから生意気にもコクってきた相手と付き合っては別れてを繰り返すようになっちゃったんですよね。さすがにやり過ぎたかとは思ったけど、でも、そこまで好きならいい加減どうにかすりゃあいいのにって思いません?」
街路樹の間にはガス燈のデザインを施した街灯が等間隔に並んでいて、優しい灯りが高遠さんの顔に深い印影を作る。
「俺ね、樹希が兄貴にあこがれてたのは知ってたんです。それもずっと、かなりガキの頃から」
お兄さんが来た瞬間の相田さんの様子を思い浮かべれば、それは容易に想像できる。
彼を一心に見つめる彼女の瞳は雄弁だった。
お酒の力で多少タガがはずれているとしても、付き合いはじめてからある程度時間が経っているのにあんな熱量を感じさせるって、凄いパワーだなと思う。
「高校の頃、内容は何だったか思い出せないけど樹希に腹が立つことがあって、仕返しを思いついたんですよ。まずはうちの母親に、兄貴に初めての彼女が出来たことをばらして。それから少し煽って、彼女を家に連れて来させるように仕向けたんです、俺。それから樹希に声を掛けたんっすよ。うちに来い、面白いのが見れるからって」
「呼んだの? わざわざ?」
「そっ、結構えげつないでしょ」と、高遠さんは頷いた。
「あいつがショック受けたところで、俺の仕返しはすっきり大成功の予定だったんです。けどショックを受け過ぎた反動なのか分からないけど、そのあとから生意気にもコクってきた相手と付き合っては別れてを繰り返すようになっちゃったんですよね。さすがにやり過ぎたかとは思ったけど、でも、そこまで好きならいい加減どうにかすりゃあいいのにって思いません?」