呼び名のない関係ですが。
思いません? と聞かれても、答えに困る。
もっとも、高遠さんも私にコメントを求めていたわけではなかったようで「だからって、俺は何の手出しもしないつもりでいたんですよ。だいたいずっと想ってたからって必ず報われるとは限らないっすからね」と、笑った。
「でも、まぁ、結局アシストしてやって、今に至るんですけど」と呟く高遠さんの声に、何とも言えない気持ちになった。
そうやって罪悪感を抱えていたのだろうことは、ひとの気持ちに鈍い私にも想像出来た。
とはいえ部外者の私が軽々しく良かったねと、コメントして正解なのかは分からない。
『ずっと想っていたからって必ず報われるとは限らない』のは、高遠さんの経験則からの発言じゃないかと思ったからだ。
「これがあいつの知らない意地悪って話ですよ」
「……そういうの、私に聞かせていいの?」
話の流れとはいえ私に過去の後悔を告白するなんて、もしかして見た目よりも彼は酔っている?
「だって主任は知ってるじゃないですか。俺が意地の悪い男だってこと」
「意地が悪いって……」
「弱ったところに付け入るような人間はそうでしょ」
それなら尚更、どうしてこんな弱みをさらすのか理解できない。
「それで、あなたは吹っ切れたんです?」
「えっ」
「横田さん」
天候の話をするみたいな口調に不意を突かれて顔をあげると、高遠さんは口元を歪めた。
もっとも、高遠さんも私にコメントを求めていたわけではなかったようで「だからって、俺は何の手出しもしないつもりでいたんですよ。だいたいずっと想ってたからって必ず報われるとは限らないっすからね」と、笑った。
「でも、まぁ、結局アシストしてやって、今に至るんですけど」と呟く高遠さんの声に、何とも言えない気持ちになった。
そうやって罪悪感を抱えていたのだろうことは、ひとの気持ちに鈍い私にも想像出来た。
とはいえ部外者の私が軽々しく良かったねと、コメントして正解なのかは分からない。
『ずっと想っていたからって必ず報われるとは限らない』のは、高遠さんの経験則からの発言じゃないかと思ったからだ。
「これがあいつの知らない意地悪って話ですよ」
「……そういうの、私に聞かせていいの?」
話の流れとはいえ私に過去の後悔を告白するなんて、もしかして見た目よりも彼は酔っている?
「だって主任は知ってるじゃないですか。俺が意地の悪い男だってこと」
「意地が悪いって……」
「弱ったところに付け入るような人間はそうでしょ」
それなら尚更、どうしてこんな弱みをさらすのか理解できない。
「それで、あなたは吹っ切れたんです?」
「えっ」
「横田さん」
天候の話をするみたいな口調に不意を突かれて顔をあげると、高遠さんは口元を歪めた。