臆病者で何が悪い!

「生田、係長だね。どう? 同期が上司になる感じは」

「えっ?」

意識が思いっきり別のところに行っていたので、隣の席から聞こえて来た田崎さんの言葉の意味がすぐには分からなかった。

「あ、ああ……。まあ、生田はキャリア組ですから、最初から分かっていたことですし、別に、これと言っては……」

「まあ、内野さんの場合、ただの同期として感じるものとは違うかな」

それって、どういう意味――?

思わず田崎さんの表情を見てしまう。そこには、いつもの田崎さんらしからぬ、含みのある爽やかとは言い難い笑みがあった。

「生田はああ言っていたけど、飲み会セッティングして無理やり生田を引っ張り出そうか。人からの好意は素直に受けるべきだよね?」

「は、はぁ……」

田崎さんが全然知らない人に見えた。

田崎さんって、こんな表情をする人だったっけ――?

「その時は、内野さんも絶対に来てね」

田崎さんの言葉は、そのまま受け取ってもいいものなのか。それとも、裏に何かを隠しているのか――。私のような女には分かりようもない。

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