臆病者で何が悪い!

「確かに、私、自分に自信がないから生田の言うように少しそう思っちゃったかもしれない。でも、だからって大事にされてることが伝わっていないわけじゃないよ。生田のせいじゃないの。全部私の性格のせいで。だから、生田は何も悪くない。それに――」

恥ずかしいけど、生田を責めていることになっているのなら、本当の気持ちを言いたい。

「もし、今、生田に私が落ち込んでいるように見えたのなら、それは違う理由だから。私も寂しいって思ったの。一緒に寝ているのに、生田に触れられないことが。もっとくっついて寝たいなって……」

「沙都……」

生田が目を見開いている。そして、次の瞬間には顔を綻ばせたように笑った。

「だったら、一緒に寝たいって言えばいいのに」

「そうなんだけど、やっぱり、なんだか恥ずかしいじゃん。そういうの言っても似合うような女じゃないし」

笑って誤魔化してみたところで、きっとこの顔は真っ赤になっているだろう。でも、オレンジ色の部屋がそれも分かり辛くさせてくれているかもしれない。

「……おいで」

掛け布団をはいで、私の眠る場所をあけてくれた。

「うん」

そっと一足ずつ布団へと足を踏み入れ、静かに横たわる。さっきよりもずっと生田の顔が近い。この距離はもう経験しているのに、やっぱりまだ慣れない。一つの布団に並んで寝れば、大人二人だから窮屈だ。

「やっぱり狭いよね。ごめん」

私がギリギリまで布団の端へ身体を寄せようとすると、生田が私に問い掛けて来た。

「……沙都の身体、触れてもいいか? 俺の腕で抱きしめて寝たい」

「いいよ」

むしろ、そうして欲しいくらいだ。その温かい腕に包まれていたい。おずおずと生田の身体に身を寄せると、優しく生田が私の身体を引き寄せた。生田の腕に頭を載せると、もう片方の手が私の腰を優しく抱く。
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